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米国国民だけでなく、日本、中国、サウジアラビアのドル資金をたくさん保有する国々(ドルへの債権国、外貨準備のほとんどを米ドルで持っている国)は、現在でさえ、自国の国民が、この「ドルの減価を原因とする自国での価格インフレーション」の被害を被っている。 通常は、「アメリカに日頃、お世話になっている分の負担」として甘受し我慢すべきものだと考えられている。
あるいは米国が行う軍事的冒険を仕方なく支持し支援するしかない。 そのための分担金として支払うべき「戦争税(ウォー・タックス)」だと考えられている。
そういう説明による我慢にもやがて限界が来るだろう。 「アメリカの言うことを聞いて、それに従うしかない」という現状追認の、本来あるべき正義感をかなぐり捨てた、ごまかしの態度がもうすぐ露呈するだろう。
あるいは、ドルの信用保持力(サスティナビリティ)に不安を抱いた、外国の製造業者(メーカー、輸出大企業)たちが、「もうドルを受け取らない。 ドルでの支払いはお断りだ」と決断するかもしれない。
あるいは製品販売の対価として受け取ったドル(貿易の決済としての)を、米国に還流させずに自国に持ち帰り、何もせずに長期間、手元に保有するだけという異常な行動を、世界中の企業と個人が取るかもしれない。 ドル紙幣の退蔵は、経済の不活性化をさらに促進して、やがてドルの信現行の国際通貨体制のいかさまを、その被害者たちから隠すためのあらゆる手段がずっと実行されてきた。
もし石油市場が世界の多くの地域で、「ユーロ建て」に切り替われば、自動的に、現在の米国政府が行っている、ドル紙幣の無根拠の際限のない大増刷によって、ドルは暴落を開始して、国際準備通貨としての信用力は大きく削減されるだろう。 米国にとって、高価な外国製品を輸入して、その対価、決済手段として、どんどん減価するドル紙幣を輸出することで済むことは信じがたいほどの利益である。
アメリカに製品を輸出している国々は、自国の経済成長のために、米国の購買力(パーチェス・パワー)の中毒患者になっているのである。 この米国への依存は、彼らを必然的に、米国の同盟国(アライ、呈房)にしてしまい、この同盟国というのは、本当は、米国の属国(従属国)のことなのだが、そういういかさまを、軍事・外交だけでなく、金融・経済の場面でも形作り、継続させてきた諸外国の健気な協力によって、今のところ、まだまだドルの価値は人為的に、人工的に高く維持されている。
今の体制が、今後も長期間にわたって機能するのならば、米国市民は、二度と働く必要はなくなるだろう。 我々もまた古代ローマ帝国のローマ人たちと同様に、「パンとサーカス」・雪辱@呂四己の言尻.を楽しむことができるだろう。

歴史が教える教訓は厳しい。 繰り返し書くが、ローマ帝国の富は、エジプトのナイル川から産出される金(ゴールド)によって賄われていた。
このエジプトからもたらされたゴールドが尽きたときに、金貨にかえて使い続けることで栄えていたローマは終わったのである。 ローマ人の持つゴールドが尽き、四散し、遠征(エクスペディショナリー)で征服した国々を属領(プロヴァンキァ)として帝国に併合し、それらの地域から富を略奪することで成り立ってきたローマの繁栄も終わりを告げた。
やがて悪貨を鋳造するようになり、帝国が発行する貨幣価値を下落させてでも帝国を維持しようとするようになった。 真実は露見し、帝国の信用保持力が大きく下落して、帝国の経営が不可能になった時に、西ローマ帝国は滅びた(西暦476年)のである。
アメリカ人がこのことに気づいて、今の生活の仕方を変えないならば、アメリカにも過去の帝国(世界覇権国)がたどった道と同じことが起きるだろう。 今の米国は、嘗ての帝国主義のように、直接外国を侵略して、その富を露骨に略奪することはしない。
無闇と外国を占領しているわけではない。 が世界130カ国に軍隊を派遣して駐留させている。
ドイツや、韓国、日本のように、それぞれ4万人ぐらいの軍団を駐留させている国もある。 わずか500人ぐらいのアメリカの軍事顧問団を駐留させている国の場合である。

アメリカが中東地域の産油国に勢力を伸ばそうと必死で努力してきたのは昔とは違って今のアメリカ企業は、天然資源の直接の所有権を主張しているわけではない。 アメリカは単に、自分たちが欲しいものを市場で決められた値段で買い、ドル紙幣という不換紙幣(フィーアット・マネー)で支払いを行うことを主張しているだけだ。
アメリカの力に挑戦しようとする国は大きな危険を負うことになっている。 この脅しだけは、きちんと諸外国の国家指導者たちに分かるようになっている。
この諸外国の国家指導者たちのことを、「帝国に対するナショナリストたち」と言うのである。 だから、諸外国の民族主義者たちとは、それらの国の国王や大統領や首相たちのことなのである。
ナショナリストとはそこらの民族右翼たちのことではない。 国王や大統領や首相たちは、帝国(世界覇権国)の皇帝であるアメリカの大統領と、真剣に交渉して、なんとか妥結し合意しなければ済まない立場の人々である。
「私の国が、国際貢献するために、出動(海外派遣)させることのできる兵隊は3000人までです。 出せる資金は、300億ドル(4兆円)までです」とか、そういう交渉を、属国(同盟国とも言う)の指導者たちはしなければすまないのである。
ナショナリスト(民族指導者)と言うのである。 米国議会は、イラクに対して行ったのと同様、今度はイランに対する戦争を仕掛けようとする議論をまだ公然と行っている。
ところが、ブッシュ政権内のネオコン派の高官たちの力が衰退しているので、イランの秘密の核関連施設に空爆を断行する可能性はだんだん低下している。 それでも、経済的・軍事的にイランを封じ込め、制裁を課し、どうしても言うことを聞かなければ、攻撃するという議論は現在も行われている。
これらの議論は、やがて開戦(バグダッド空爆)から4年後の今、全て失敗に終わってしまって、費用だけが巨額にかさむイラク占領作戦の愚かで無根拠だった理由と同様のウソと偽りに基づいている。 アメリカは強大な軍事力で脅してドルの価値を維持してきたこれまで書いてきたことから分かるとおり、今の米国の金融・経済の体制は、旧来の世界通貨協定(IMF体制)が継続されることに依存しており、そこでは「ドル紙幣のアメリカへの還流」が決定的に重要である。
決済手段として世界中に流出したドルは、世界中の各国の主要な銀行のニューヨーク支店の預金勘定の、ドル建ての金額としてすべて集められ、毎日計算されている。 ニューヨーク連邦銀行(FRBの傘下の連邦銀行のひとつとされる)が正確に把握している。

世界中のドルの在り処は、だからニューヨーク連銀に よって世界中のドル建ての資金量は日々、的確に補足され監視され計測されているのである。
だからアメリカは安心してドルを管理できている。 グリーンスパン議長は、この数値を細かく解読することの天才であった。
だから、金融舵取りの〃巨匠(マエストロ)〃と呼ばれた。 故に実需である世界中の貿易の決済金の量と、海外送金される際に使われるドルの総量はすべてアメリカ政府によって把握されている。

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